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新たなるアライアンスの取り組み
「ローカル」の可能性を開いた共通ポイント「ブルーアライアンス」

書籍1

Tポイントに代表されるような大手共通ポイント連合は、基本的にはナショナルチェーンが中心。しかし、ナショナルチェーンがどの地域でも圧倒的なシェアを誇っているわけではない。むしろ、地方では地場資本のサービスチェーンが高いシェアを確保している場合もある。ローカルに強いチェーンをポイントアライアンスで結べば、地域内の生活者の消費生活に入り込める可能性も高い。

大手共通ポイント連合の戦いを「空中戦」とするならば、地域密着型の「地上戦」ではローカル連合が勝利するのではないか。

こうした着想に立って生まれたのが、都道府県内だけで使える地域共通ポイントカード「ブルーカード」だ。運用を担うのは、カード運用事業会社「ブルーアライアンス」。

すでに山形、長野、岐阜、山口、愛媛の各県単位で展開。〝地域版共通ポイント連合〟を形成している。

ブルーカードの強みは、地場資本の流通サービスチェーンを主体にしている点だ。地域内で、ナショナルチェーンと同等に競争する企業をブルーカードで結びつけ、地元住民に幅広くアプローチするしくみを取っている。

Tポイントなど全国展開している共通ポイントは、限られた地域ではそこまで利便性が高いとはいえない。かといって、地域の商店街などごく小さなエリアでしか使えないのでは、消費者にとっても企業にとっても旨みが少ない。地元住民ならばだれでも知っていて、利用しやすい企業を連携させることで、消費者にとって魅力的なポイントサービスを提供できるというわけだ。

現在最も取り組みが進んでいるのが長野県。会員数は50万人、世帯普及率は38%に達し、何もしなくても毎月5000人入会するまでに浸透している。加盟舗数は、百貨店のながの東急をはじめ、書店、紳士服、ホームセンターなど500店にのぼっている。

こうした中には、地場企業がブルーカードの囲い込み効果を利用してナショナルチェーンに勝つケースも生まれている。例えば、ながの東急にはブルーカードのほか、東急グループのポイントカード(TOPカード)もあるが、顧客の多くはブルーカードへのポイント付与を希望するという。ガソリンスタンドやタクシーでも、ブルーカード加盟企業のほうが人気だ。

地域住民から「一番に選ばれるポイントカード」にまで成長したブルーカード。成功の秘訣は、徹底したローカル主義に加え、ポイントを貯める喜びという点でも利用者の心をつかんだしくみづくりだろう。

ブルーカードは、あえて「500ポイント貯まったら、半年ごとに500円買物券に交換して郵送でお届け」という手間ひまかけたポイントの交換方法を採用している。会員は半年に一度郵送される買物券を楽しみに、ポイントを貯めているのだ。

買物券には会員それぞれの購買履歴に応じて割引クーポンも同封されているので、届いたときのうれしさも倍増。たくさんポイントを貯めた優良会員なら、送られてくるクーポンの数も多く、さらにポイントを貯めるモチベーションにもつながっているという。

金券が同封されているため、DM開封率も99%とずば抜けて高い。

 

成功の要因は、次の3点に集約できる。

これは長野県に限らず応用でき、ポイントを使った地域活性化のヒントでもある。

地場産業にとってのブルーカードは、新たな顧客囲い込みのソリューションとして今後も注目されていくだろう。

出典:「成功するポイントサービス」第3章 成功事例に学ぶ正しいポイントサービス(p98~)
著者  岡田裕子(株式会社エムズコミュニケイト)
発行者  玉越直人
発行所  WAVE出版